はごろもぷらん(第3章)

更新日:2020年06月30日

第3章 計画の内容

  1. 計画全体体系
  2. 施策の内容

基本方針1.人権の尊重と男女平等社会の構築

私たちは一人ひとりの人権が尊重され、何人も平等であることが保障されています。この精神は揺るがしがたい永続的な権利であり、「男女共同参画社会」づくり実現のための大前提です。また国際社会に目を向けると、昭和54(1979)年の国連総会において「女性差別撤廃条約」が採択され、性別による差別や暴力の撤廃と男女平等が明記されています。そして、わが国も85年に同条約に批准しました。
しかし、現実的には男女平等や基本的人権、あるいは生命や生存を侵すような社会的脅威が多発しています。たとえば、ドメスティック・バイオレンスセクシュアル・ハラスメントストーカー行為など、女性に対するあらゆる暴力や差別は今日でも日常的に起こっています。また、メディアによる性の商品化や性差別的な表現、そして近年新たな課題として顕著になりつつある性同一性障害に対する偏見や差別などもあげられます。
今日でも性別にまつわる差別や暴力を根絶できない背景には、社会通念や慣習など私たちの意識や体に深く染みついている固定的なものの見方(偏見)があります。とくに、ジェンダーに起因するような「男性であるから、女性であるからこうあるべき」という性別役割観は、私たちに固定的なものの見方を植えつける原因の一つになっています。
この計画においても、差別や暴力につながる意識の改革やものの見方の変革、また男女平等や人権尊重の周知徹底、そして差別や暴力の被害者に対する救済・支援を早急に施すことが必要不可欠です。生命の保護、人権の尊重があってこそ、真の男女平等社会を構築することが可能となるのです。

目標(1) 固定的な性別役割分担に基づく慣習・制度の見直し

この計画の理念にも「男女共同参画社会の実現」をうたうように、一人ひとりが社会のあらゆる場での活動を主体的に選択し参画していくことは、当然のこととして保障されなければなりません。しかし、現実には「女だから…、男だから…」という考え方に基づく固定的性別役割分担意識が個々の自由な選択を阻む要因となっています。
この固定的性別役割分担意識は、家庭教育や学校教育の中で子どものころの成長段階から形成され、人々の意識ばかりか無意識のうちにまで深く浸透し固定化されています。また、その意識は社会を構成する一人ひとりにより制度や慣習に反映され、結果的に就労面や家庭内の事柄、あるいは政策や物事の取り決めなどのあらゆる場面において不平等感を生じさせています。そして、そのようにしてつくられた制度や慣習によってさらに、固定的性別役割分担意識が形成されるという相関作用により、現状の社会が成り立っています。
そこで、本市では固定的性別役割分担の解消に向けた研修・学習会やイベントなどを企画・実施し、市民に広く情報を提供し、慣習や制度を見直す場を創出します。社会教育、学校教育の場においては、男女共同参画の視点を基盤にした教育を行うとともに、教育者自身についてものその視点を育成します。
また、各種メディアを通して日常的に流される情報については人々の意識に大きな影響を与えます。性別役割分担の固定・強化に繋がる表現について一人ひとりが主体的に解釈・選択する力(メディア・リテラシー)を養成するとともに、情報を提供する側に対しても固定的性別役割分担を助長するような表現を改めていくようにはたらきかけます。行政から発信する情報については、率先して模範となるよう固定的性別役割分担の是正に配慮した表現に改めていきます。

具体的施策
  1. 男女共同参画の視点に立った様々な固定的慣習や制度見直し
  2. 「はごろもレディ」の性別にとらわれない親善大使としての見直し
  3. 固定的性別役割分担の解消に向けた研修・学習会、啓発イベントの開催
  4. 行政の発行する刊行物の性にとらわれない表現の見直し
  5. 家庭生活における男女共同参画の促進
  6. 男女共同参画都市宣言事業の実施
  7. 男女平等条例の制定及び周知徹底
  8. 教育者、指導者を対象にした男女共同参画に関する啓発・研修
  9. 社会制度・慣習に対する実態調査
  10. 女性、男性問題解決のための講座の開設
  11. 子どもの個性を尊重し、固定的性別役割にとらわれない家庭教育推進のための保護者に対する啓発
  12. メディア・リテラシーを育成する情報教育

目標(2)行政・市民・事業者の意識変革の確立

男女共同参画社会を構築するためには、私たち一人ひとりの自覚的・主体的な意識変革が重要な課題のひとつにあげられます。平成5年(1993)年の第1次計画開始当初と、その約10年後の計画終了時期である平成14(2002)年の市民意識調査の変化を見ると、家庭・地域社会において男性は「男女平等」という意識が見られるものの女性は「男性優位」と感じています。10年を経過した今日でも依然として男女間の意識のズレがみられます。また、職場においては男女ともに依然として「男性優位」と感じているというのが現状です。
このように社会のあらゆる場面で不平等感や男女の意識のズレが生じている現状を踏まえ、行政・市民・企業が一体となった意識変革がより一層求められています。具体的には社会教育を始めあらゆる学習の機会を通じて、人権意識のうえに成り立った市民の意識変革を図っていきます。
また、メディアや家庭や学校から強く影響を受ける児童・生徒に対しては、親子で人権と男女平等について考える学習機会や、学校教育現場での「総合的な学習の時間」では、共に生きることの大切さや男女平等の大切さに関する学習の機会を保障し、自己の生き方を考える児童生徒を育成していきます。そのためには、家庭で子どもと対等に向き合って話し合えるおとな、学校で子どもたちと対等に向き合って話し合えるおとなの育成も欠かせません。おとなから子どもへ、そして子どもからおとなへ、一人ひとりが周囲の人に啓蒙でき、各世代間の共通課題として認識できるような広がりのある意識変革の推進を行います。
さらに、雇用の場に対しても雇用者と被雇用者が人権や男女平等について、またジェンダー(社会的文化的につくられた性差)にとらわれた意識や育児休業などの各種休暇制度について話し合い見つめ直す研修や学習の機会を提供する必要があります。
そして行政は男女共同参画事業の実施主体としてだけではなく、行政内および職員個々の意識改革が必要であり、市民や事業者と共に意見交換をしながら意識変革の最前線に立たなくてはなりません。よって行政自らがお手本となるように、人権、男女平等、男女共同参画の視点に立った意識の改革を進めるために、職員の研修・学習機会をさらに充実し、その成果を市民に還元できる細やかな諸事業を展開していきます。
男女共同参画の推進については、IT技術の活用、地域のネットワークも活用しながら、継続的、効果的な広報啓発が必要です

具体的施策
  1. 男女共同参画に関わる調査・研究の推進、情報の収集・提供、相談の充実及び啓発・広報活動の推進
  2. 学校教育と社会教育の連携による男女平等意識を高める学習機会の充実
  3. 男女混合名簿の実施
  4. 人権と男女平等についての「総合的な学習の時間」を活用した学習プログラムの実施
  5. 保護者に対する男女平等教育についての啓発
  6. 男女共同参画週間において男女平等意識の啓発を図る
  7. 地域における男女共同参画に関する学習の推進
  8. 事業所おける男女平等に関する研修・学習
  9. 管理職をはじめ、市職員への男女共同参画に関する周知徹底及び意識改革(研修、啓発誌等)
  10. 男女共同参画計画の職員への周知徹底
  11. 全庁的に啓発を浸透させるための手段として、男女共同推進モデル課の設置及びその奨励・紹介。
  12. 家庭における男女平等意識の確立
  13. ホームページを活用した男女共同参画に関する情報提供

目標(3)男女共同参画に関する拠点施設の拡充と環境整備

第1次計画では、「活動拠点の整備」が目標のひとつに掲げられ、推進されてきました。その目標は、平成15(2003)年4月、『人材育成交流センターめぶき』の開館により、実現しました。施設は国際交流拠点機能との複合施設として設置されています。男女共同参画社会の実現に向けた拠点施設として、研修・学習、情報提供、交流、相談の役割とともに、市民とりわけ女性のエンパワーメントに果たす役割が必要とされます。
『人材育成交流センターめぶき』では、女性が社会参画していくための学習や発言力のつけ方、あるいは意識改革のためにジェンダー・イコールの視点を取り入れた事業を行うことや、エンパワーした女性が能力を発揮する場の開発が必要とされます。また、市民の自主的な研修の「場」やサービスの提供が求められ、拠点施設の活動を通して得られる市民の意向を行政の場に発信(フィードバック)することで、より豊かな男女共同参画社会を目指していきます。
また、多様なライフスタイル、それぞれのライフステージに応じた男女共同参画に資する情報の提供をきめ細かに行う必要があります。
そして、女性のエンパワーメントや男女共同参画に寄与する個人及び団体間ネットワークづくりの拠点として十分な効果が得られるよう、利用しやすい環境整備も必要です。
さらに、「めぶき」を中心とした市内公共施設の施設間ネットワークを構築することにより、それぞれの施設において男女共同参画を推進するための利用に対し、柔軟に利用提供を行えるよう連携を図ります。同時に、各施設にて「めぶき」の利用案内についての周知を行い、「めぶき」施設の活用を促進します。

具体的施策
  1. ジェンダー・イコールの視点を取り入れた各種事業
  2. ライフステージに応じた男女共同参画に関する資料の収集と情報提供
  3. 施設利用案内の周知・広報
  4. 女性相談の充実
  5. エンパワーメント交流
  6. めぶきの利用促進及び他施設の男女共同参画に関する利用の促進のための市内施設間ネットワークの構築

目標(4)女性に対する暴力の根絶

女性への暴力は、女性の人権を踏みにじる行為であり、性犯罪(強姦、盗撮、痴漢)、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為、DVなどがあります。これらは、女性へ恐怖と不安を与え、女性の日常生活や社会活動を束縛し、自信や活力を失わせ、男性が「主」であり、女性は「従」といった従属的な状況へと追い込むことです。
平成14(2002)年の市民意識調査によると「セクシュアル・ハラスメント(性的いやがらせ)」を受けたことがあると答えた女性が20.6%となっています。また、「DV(ドメスティック・バイオレンス)」や「ストーカー行為」については、歴史的に形成された、男性の女性に対する政治的・経済的・社会的優位が私的関係のなかで現れているものと考えられ、社会構造的な問題との認識が高まり、法の整備や諸支援・防止策などが実施されています。
女性への暴力は社会構造的差別によって行われたことから家庭や職場で個人的問題として潜在化しがちでした。法律等ができたことにより少しずつではありますが声をあげやすくなった背景があります。しかし、まだまだ女性への暴力は後を絶たないのが現状です。さらに、その根絶に向けて努力と認識を強めていかなければなりません。

また、このような女性に対する暴力の根絶は、女性だけでなく男性にとっても大きな意味をもっています。それは、加害者・被害者という関係になる前に、もう一度お互いの幸せな生き方を話し合い、お互いを尊重し合える人間関係を持つことができるということです。誰しも、犯罪者や被害者としての生き方は望んでいないと思います。また、当事者はもとより家族や地域住民など多くの人をも巻き込むことになるのです。
男女共同参画社会はそのことばが示すように、男女がお互いの人権を尊重し、対等に意見を述べ合い、相互理解をしながら、一人ひとりの望む生き方ができる社会です。暴力によって従属的に相手を扱い、身勝手な自己満足のために相手の人権や生き方を無視することはあってはならないことです。
男女共同参画社会の実現の阻害要因である女性への暴力の根絶のために、未然防止策として、社会的啓発、情報提供、カウンセリングや教育の場の提供に取り組みます。また、被害者に対しては、相談体制の充実やシェルターの整備等を他機関や地域住民と連携を密にして取り組んでいきます。

具体的施策
  1. 女性に対する暴力に関する救済、支援のため相談体制の充実・整備(関係機関のネットワークの構築)
  2. DV防止のための事前教育や各種啓発
  3. DV加害者への再発防止にむけたプログラムの実施と関係機関との連携。
  4. DV防止対策の推進
  5. ストーカー行為による被害防止の為の各種啓発
  6. 売買春や性犯罪による被害防止の為の各種啓発
  7. DV被害者の公営住宅等の入居に関する支援
  8. シェルター(一時保護所)の整備等を他機関と連携を密にし取り組む

目標(5)多様な性の尊重

市民調査のなかで性教育に関する項目では「小学校低学年から、発達段階に応じた性教育」について、「必要だと思う」と答えた人が以前に比べ男女ともに7割とのびてきています。
これまで、性の問題についてあまり取り上げられていない状況がありました。しかし、性についての正しい知識を得、人間のこころとからだについて理解を深めることは、性についての誤った思いこみを改め、偏見や差別のない、人権を尊重する社会の構築にもつながります。また、近年、性同一性障害への理解を求める声があがっており、そうした一人ひとりのこころとからだの結びつきが無限な広がりと多様性をもつということについての学習効果があります。
多様な性の尊重は、お互いの性への理解を深め、それぞれの望むライフスタイルへの共通認識として大きな役割を果たします。一人ひとりの望むライフスタイルが話し合われ、お互いに尊重しあえるように、生命・人権の保護・個人の尊重を前提とした学校教育や社会教育、各種団体への研修などを図っていきます。

具体的施策
  1. 社会教育における性教育、人権教育の充実
  2. 行政における申請書等の性別欄の見直し
  3. 学校教育における発達段階に応じた性教育及び人権教育

基本方針2.あらゆる分野での男女共同参画

「男女共同参画社会」とは、文字どおり社会のあらゆる領域で女性と男性がともに個性や能力を発揮し、その意思を社会づくりに対等に反映することができる社会です。そのため、国の「男女共同参画社会基本法」平成11(1999)年制定、「沖縄県男女共同参画推進条例」平成15(2003)年制定、また沖縄県の「DEIGOプラン21」平成5(1993)年策定、平成9(1997)年改定、は政策等の立案・企画および決定部門への男女の共同参画をうたっており、女性の登用に関する当面の目標数値を具体的に定めています。もちろん、それは政策の領域だけでなく、雇用環境や社会活動等の場面でも男女が対等に取り決めを行えることが保障されている社会のことを言います。
しかし現実的には、これらの取り決めごとの場面で男女の参画機会が対等に保障されているとはいえません。たとえば人事登用や人選等に実質的に携わる部署が固定観念で男性に偏った登用をしたり、あるいは情報不足で女性の人材を把握できずにいたり、さらに女性自身も当初から参画意志をもてず拒絶してしまうことがあります。
その背景には、先に述べた固定的な性別役割分担意識が根強く存在することなど私たちの意識やものの見方にも問題はありますが、女性が参画機会を均等に享受できるための社会的諸条件や制度が整備されていないという側面もあげられます。そのため、実質的な男女共同参画社会を実現するためには女性のエンパワーメント(力を向上すること)とポジティブ・アクション(積極的改善措置)が必要不可欠です。女性がスキル(技能)を高めていくことやその条件整備は、一人ひとりの意識に参画の自信が芽ばえるであろうし、男性中心の偏った社会の仕組みに変革をもたらす近道となります。
よって、この計画ではあらゆる分野での男女の共同参画を実現していくために、女性の人材育成や地位向上に関する格差是正措置など具体的な施策を積極的に図ります。

目標(6)女性の政策・方針決定の場での参画推進

「男女共同参画社会」の実現を目指すための重要な課題のひとつに、政策・方針決定の場へ女性の参画を促進していくということが挙げられます。わが国の男女共同参画基本計画は、平成19(2007)年度までのできるだけ早い時期に政策・方針決定の場における女性の参画を30%に達成するという目標にむけて取り組まれています。また、本市の第1次計画でも平成6(1994)年度から平成15(2003)年度までに、あらゆる分野における女性登用率を30%にすることとした目標を定めてきました。
政策・方針決定の場としては審議会や委員会などが挙げられますが、本市ではこの各種委員への女性登用は徐々に増加しつつあるものの女性委員ゼロの会議も未だにみられ、まだまだ男女共同参画という状況にはほど遠いといっても過言ではありません。たとえば女性委員の割合は、各種行政委員会で13.8%、各種審議委員会で25.1%というように目標数値には達していません。
また管理職への登用やその他の分野では、学校現場の管理職で27.3%、PTA会長では20.0%、市職員の管理職では8.2%とかなり低い状況です。さらに市議会にいたっては女性議員の数はゼロという状況であり、今後、政策・方針決定の場への女性登用をさらに強力に推し進める必要があります。
第2次計画では、女性が参画しやすい環境づくりを目指して、宜野湾市の独自性を持った積極的改善措置(ポジティブ・アクション)を図ります。行政に設置される審議会、委員会においては、早急に女性委員ゼロの審議会等をなくし、平成20(2008)年度(計画中間年)までに、男女いずれの委員も40%未満にならないようにする。最終的には、男女ほぼ同数の達成を目指します。また市民に開かれた市政を目指すという意味でも各種委員会において公募制を推進し、女性の登用促進を計画的・継続的に実施します。

具体的施策
  1. 女性委員ゼロの審議会の解消及び、目標数値の達成
  2. 専門性をもつ女性及び男女共同参画の視点をもつ男性の人材バンクの充実及び活用促進
  3. 人材バンク登録者研修会を開催し、男女共同参画の視点をもつ人材育成を行う。
  4. 女性職員の役職への積極的登用。(ポジティブ・アクション)
  5. あらゆる政策決定の場に女性が参画するための女性自身の意識改革
  6. 女性を含め広く市民の視点を取り入れるために、審議会等委員の公募化の推進
  7. 審議会等における女性の割合の調査・公表
  8. 審議会等委員への女性登用促進要綱の制定

目標(7)地域社会での男女共同参画の推進

平成13(2001)年度の『沖縄県男女共同参画白書』では、地域社会活動に「参加していない」と回答した人が男女ともに半数近くにものぼり、県民の「地域離れ」を見ることができます。その理由として「仕事が忙しくて時間がない」などが圧倒的に高く、女性は仕事や家事・育児・介護、男性は仕事といった時間的ゆとりのなさが社会活動参加の阻害要因となっています。
本市においても、上記と同様の傾向があるようです。平成14(2002)年の調査によると「地域社会活動には参加していない」という回答が男女ともに4割近くにものぼっており、1993年の調査結果と比べてもほぼ変化していません。また93年に「今後参加してみたい地域社会活動」として趣味や学習のサークルをはじめ福祉活動や環境運動など幅広く関心が寄せられていますが、10年が経過した今日の状況に全く反映されていません。
しかし一方、自治会、PTA、商工会や通り会などをはじめ、既存の地域団体においては、団体の長や役員などを比較的年齢層の高い男性が圧倒的に占めています。日常的な地域活動の多くを女性が担っていることを考慮すると、性別、世代別にみても地域活動の決定権が依然として偏ったままであることは否めません。
以上の「地域離れ」や「決定権の偏り」という問題が発生してしまう要因として、基本的に2つ考えられます。まず一つ目は先に述べたような時間的ゆとりのなさ、そしてもう一つは自分に合った魅力的な地域活動が見当たらないなど市民のニーズや情報の不足です。
これからの地方分権の時代、地域住民が主体となった男女共同参画のまちづくりがますます重要となってきます。コミュニティ意識の希薄化を防ぐことは地力の確保であり、市全体の活性化にもつながります。そうした中で、男女共同参画と市民の多様な志向性を視野に入れた新たなコミュニティの創出が不可欠です。その新たなコミュニティの創出とは、世帯単位だけではなく個人の多様なネットワークを参加単位としながら、性別や年齢層の偏りを排除し、老若男女が地域課題を対等に話し合い解決していける柔軟で広がりのある地域社会をモデルとしています。
そのモデルを構築していくためにも、まず就労環境や家庭環境の改善はもとより、既存の地域諸団体において女性や若い世代を積極的および恒常的に役員層に登用していくこと、また市民の社会参加のニーズを把握し多種多様な社会活動グループの立ち上げを支援していくこと、そして人材育成交流センターを中心として活動拠点と情報提供の窓口をさらに充実していくことなどを積極的に推進していきます。

具体的施策
  1. 各種団体の女性の積極的登用促進
  2. NPO等社会活動グループの支援・連携
  3. 地域社会活動・ボランティア活動等への男女共同参画の促進
  4. 男女ともに無償労働と有償労働のバランスのとれた環境整備

目標(8)男女共同参画社会に向けた就労環境の整備

男女平等を大前提として就労の分野で経済的生活基盤を形成していくことは、男女共同参画社会の実現においても重要な意味を持ちます。今日、雇用者に占める女性の割合は年々増加傾向にあります。それと同時に、昭和60(1985)年の「男女雇用機会均等法」と平成12(2000)年の均等法改正を経て、女性の働く環境の法整備は進んできました。しかし、職場での配置における男女間の偏り、昇給・昇進などにおける男女間の格差は依然としてあり、事実上の不平等の状態が続いていることを物語っています。
平成14(2002)年の宜野湾市調査の中で、職場環境について男女ともに「男性優位」とする意識が強く、特に女性は、平成5(1993)年よりも「男性優位」とする意識が強まっています。上記のような配置の偏り、昇給・昇進の格差、パートタイマーに対する待遇のあり方、育児・介護休業制度等の利用による昇給延伸など運用上の問題、保育体制や子育て支援のあり方、復職や再就職の困難さ、未だに無くならないセクシュアル・ハラスメントなど女性を取り巻く就労環境はまだまだ問題が山積しています。
また、男性の育児・介護休業制度などの利用実績が著しく低いなど、男性自身の意識、そして職場内に家庭や地域活動の事柄を持ち込めない男性中心組織に特有な体質が阻害要因となっています。
また、宜野湾市を含め沖縄県内は規模や資本力ともに零細な事業所が圧倒的多数を占め、様々な休業・休暇制度そのものすら未整備といった状況にあります。
以上のような就労環境の諸問題を実質的に解決していくためには、雇用する側である事業主や役員に対して研修セミナー等を通して男女共同参画意識の啓発とともに「男女雇用機会均等法」の遵守の周知徹底をさらに働きかけ、直接的に意識啓発を行い実質的な実行の促進を図ります。また、雇用される側である、社員や職員、アルバイト、パートタイマーなどに対しても雇用機会均等法を当然の権利として周知徹底させ、男女共同参画意識を持つことが不可欠です。
第2次計画では、事業所への意識啓発はもとより、女性管理職の登用や休業・休暇制度の整備、制度利用にともなう配慮など男女共同参画社会に向けた事業所の積極的な取り組みに対して支援・奨励事業をさらに推進していきます。また、女性が家族従事者として働いている自営業や農水産業における男女共同参画の推進にも積極的に取り組みます。
そして、市内事業所への働きかけだけでなく、市行政も事業者のひとつとして男女平等と男女共同参画を基盤とした改革の模範となるよう諸施策の先頭に立って取り組みます。

具体的施策
  1. 女性の労働に対する適正評価と方針決定過程への参画及びポジティブ・アクションの促進
  2. 学校教育における性別にとらわれない進路指導
  3. 事業者に対する男女雇用機会均等法の周知徹底
  4. 家族経営協定の普及推進
  5. 事業者等に対し、男女共同参画の推進についての評価基準を設け顕彰する。
  6. 女性のキャリアアップの機会を積極的に設けるよう、管理職への周知。(統括的業務、庶務的業務に性別に偏りなく)
  7. 育児休暇等を利用した際の昇給延伸の是正、又は、利用者に対して昇給延伸等の内容について情報提供を行う。
  8. 母性健康管理対策の推進
  9. 職場における男女平等意識の高揚
  10. 女性の職域の拡大の促進
  11. パートタイム労働者等の待遇の確保
  12. セクシュアル・ハラスメント防止対策の促進
  13. 旧姓使用を承認する取り扱い要綱の作成

目標(9)文化継承の決定の場への男女共同参画

文化とは、私たちの生き方、価値観などの判断の基準となり、人生の源泉となります。そして私たちの共同体や共同生活を、より心豊かで安定的なものにしていくための知恵であり、潤滑油でもあります。
しかし、その文化がときとして歪んだかたちで継承され、私たちの心、身体、そして生活に負の遺産を遺してしまうことがあります。たとえば、沖縄においてトートーメー(位牌)は親族の絆を深める大切な役割を果たしていますが、男性中心のしきたりや慣習を固定化してしまう側面も併せ持っています。歴史的にみると、トートーメーに関する男性優先の側面は、比較的に浅いということも史料に基づいて立証されています。
また、地域のまつりごとや祭事などにおいても男性が中心となり、女性が準備や片づけを担うなど負担が偏った状況もあります。
さらに地域の伝統的な食文化が健康や長寿に効果があるということは知られて久しいのですが、これまで伝統的な食文化の多くを女性が担ってきたことから、今後は継承する側に男性も関わり、共に担うことにより伝統文化を再認識することができます。そのことは、これまでの慣習の是正にもつながります。
このように、先人たちの知恵として編み出された貴重な伝統文化が、個々の生活に偏りなく幸福をもたらす、真の意味での共同の遺産として継承されていく必要があります。とくに食文化、地域の特産品、伝統工芸は女性の起業支援とも密接にかかわっており、男女共同参画の視点が重要となってきます。
そこで第2次計画においては男女共同参画の視点も取り入れながら、食文化、年中行事、伝統工芸、唄・踊りなどの伝統文化を正しく学習し、そして共同の財産として正しく継承していくための事業を地域、家庭、学校の場で展開していきます。その際、保存、継承、創造する決定の場に男女共同参画で意見を反映する場の確保が重要になってきます。
そして文化は伝統的なものだけではなく、時代、社会、生活、個々の意識の変化に応じて新たに生み出されるものもあります。文化が真の意味で共同の財産として享受されていくためには、固定化されるものではなく、多様なかたちで対応していける柔軟さが必要です。よって、男女共同参画の視点はもちろんのこと、次世代の子どもたちが誇りをもち継承していけるような、新たな文化創造の支援事業を実施していきます。

具体的施策
  1. 文化の保存・継承・創造の決定の場への男女共同参画
  2. 男女共同参画の視点に立った伝統文化の学習・研究

基本方針 3.多様な生き方と自立を促進するための条件整備

近年、私たちを取りまく社会環境は劇的に変化し、とりわけ情報社会の浸透や国際的な文化交流、また都市化や核家族化などが個人の価値観や生き方に影響を与えつづけ、その多様化と柔軟さを促しています。そこでは各々が自分らしく生きながらも、自己実現と社会的な責任・貢献を兼ね備えた「自立と共生」の社会をつくり上げていくことが求められます。その目標は「男女共同参画社会」づくりと深く関連しており、固定的な性別役割観から解放され柔軟な生き方をもちつつ、かつ個人として社会的な責任を対等に担える市民像を見出すことができます。
しかし、一人ひとりが多様で自立的な生き方を求めた価値意識を理想としながらも、それを阻む社会の現実が数多くあります。たとえば、女性にとっては年金制度など税制の改革で経済的負担が増大し経済的自立を求められながらも、職業選択の幅や就労の機会・継続が男性よりも狭められている状況にあります。また婚姻制度などにおいても夫婦別姓を選択できない現状があり、さらに女性の性に対する数々の人権侵害により意思に反した妊娠や出産を強いられていることも少なくありません。
また家事・育児・介護など家庭内の事柄が女性の労働として偏った状況は相変わらずである一方、男性もまた賃金労働者という観念が深く根付き、企業と家計を支えるために体や心を消耗しつくしている状況もあります。とくに、男性が家庭生活や地域活動に参加できない状況や、老後の生き方や生活能力にも支障をきたしている問題もあります。
今後、この計画では結婚をする・しない、子どもを産む・産まないに関係なく、あるいは固定的な性別役割観を取り除きながら、市民一人ひとりが自らの意思で生き方、生活、体や健康のあり方などを主体的、自立的に実現することができる具体的な支援策を整備し実行します。

目標(10)男女共同参画型のコミュニティの創出

近年、「男は仕事、女は家庭」といった観念で作り上げられてきた家族形態や雇用システムが変わりつつあります。こうした変化の中で、これまでの価値観にとらわれない自分に合った生活を追及しようとする傾向が、男女のライフスタイルの多様化を促進しています。男女ともにどのようなライフスタイルを選択したとしても、職場・家庭・地域で全ての人が自立した豊かな生活を営むためには、個人の果たす社会的責任と地域との共生が必要不可欠となっていきます。
今まで男性は家庭や地域への参画が少なく、「家庭より仕事」といった観念にとらわれすぎて家庭や地域での生きがいを見出すことが難しい状況にありました。また、女性は経済的な面をパートナーに依存している状況で、老後への不安や個人としての生き方の変更を余儀なくされています。そこで、個人の多様な生き方を尊重し合うためにも、一人ひとりの自立的生活ができるような諸施策を図っていきます。
上記のような一人ひとりの多様な生き方を支えるためには地域コミュニティとの連携が必要となっていきます。男女共同参画の視点で地域づくりを進めていくことで、横と横とのつながりを強め、男女の偏りのない住民参画によって地域でのDVや独居老人の孤独死、児童虐待などの早期発見など様々な社会的問題に対処できる男女共同参画型コミュニティの創出が期待できます。男女が共同で地域活動に参画することは、家庭・育児・介護やビジネス社会の経験と専門的知識を共有したコミュニティができ、NPO活動など地域基盤の安定化につながっていきます。
そこで、この計画においては、都市化とともに変動する地域社会の状況と個々のライフスタイルや価値観を十分に把握し、新たな相互扶助のネットワークづくりに取り組んでいきます。各世代の多様な人材を発掘・育成し、地域における男女共同参画型コミュニティの構築を早期に実現できるよう諸施策を効果的に展開していきます。

具体的施策
  1. 母子保健計画の推進
  2. 男性を対象にした家事・育児・介護への参加など、生活の自立に関する講座の開設
  3. ひとり親家庭等を含めた女性の経済面の自立支援
  4. ひとり親家庭が安心して暮らせる相談体制と各種手当等の制度の周知
  5. ひとり親世帯の公営住宅等の入居に関する支援
  6. 保育参観、授業参観、保護者会等への男性の積極的参加の促進
  7. パパとママのマタニティ教室の充実
  8. 在宅サービスの充実
  9. 福祉施設等の充実

目標(11)リプロダクティブ・ヘルス/ライツの確立

男女共同参画社会を実現していくうえで、法や制度の整備などとともに必要なのは男女それぞれの身体の特性をお互いに理解し合い、思いやりをもって、支え合い生きていくことです。
そのためには、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点に立った総合的な健康支援を図ることが重要です。
女性には、妊娠や出産をする生殖機能があるため、ライフサイクルを通して男性とは異なる健康上の問題に直面する可能性があることから、このリプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念が提唱されてきました。例えば、長男を優遇する男性主体の慣習により、子どもを産みたくない、あるいは産めない女性が、生むことを強制されるなどの社会的圧力を受けることは女性の健康に重大な影響を及ぼすことにつながると同時に、多様な生き方を制限する人権の問題です。また、これらに関連して、生涯にわたって自分の健康を主体的に確保する権利があり、その条件整備の支援や社会への浸透が必要です。
そのためには、男性は妊娠・出産についての理解と配慮が求められます
就労の面においても、女性が妊娠中・出産後も働き続けている状況も考慮し、生理休暇や妊娠中・出産後の配慮に対して積極的に働きかけます。
特に、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念のもとに女性の日常的な健康管理・保持に対する施策や支援を充実させ、各世代の男女が性と生殖に関し、女性が不利益扱いを受けないよう自ら判断し、決定すること(性的自己決定)を含め、お互いの健康を、幼児期から老齢期にわたる生涯を通じてともに尊重し合えるよう支援し、具体的施策を実施していきます。

具体的施策
  1. リプロダクティブ・ヘルス/ライツの意識の浸透
  2. リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点に立った女性の心とからだについての講座開設
  3. 女性相談事業の実施
  4. 生涯を通じた女性の健康をおびやかす問題についての対策の推進
  5. 思春期における保健福祉体験学習
  6. 母子健康相談の開催

目標(12)男女共同参画社会に向けた自立支援

男女共同参画社会は、性別にかかわらずあらゆる分野で対等に扱われ、その意思を尊重し、反映させなければいけません。また、それにともなう責任を担い、喜びなどを分かちあう社会です。そうした社会を構築していくためには、個人のあらゆる面においての自立がとても必要となっていきます。
また、近年は生活の物理的な水準が国際的に見てある程度達成されたことから、次は、心の豊かさを基本にした生活や人生の質の向上を求めるクオリティ・オブ・ライフという概念が生まれています。
その考え方からも、一人ひとりが生涯を通して充実した日常生活を過ごすための自立が求められます。
これまで「経済的面は男性が、生活全般については女性が」という偏った意識で社会システムはできあがってきました。しかし、これからの男女共同参画社会では、男女ともに生活の面においても、経済的な面においても自立していく必要があります。 特に男性に対しては日常生活において、家事・育児・介護を担うための知識や経験を身につけられる支援、女性に対しては経済面などで自立できるようエンパワーメントや起業支援などの条件整備を図っていきます。
一方、私たちは生きていくためには働いて、賃金を得なければなりません。社会生活をしていく中で、個人の多様な生き方と就労の面は切っても切り離せないことです。しかし、こうした個人の多様な生き方ができるためにも、又、生活の質の向上という考え方からも労働者が仕事と育児・介護を容易に両立させ、生涯を通じて充実した職業生活を送ることができるように育児・介護休業に関する意識啓発の推進や取得しやすい職場環境の整備が必要です。
また、男女が共に職業生活と家庭生活との両立を図ることができ、地域への参画や家庭的責任も、ともに担えるようにするという考え方から、労働条件、労働環境の整備を図るための取り組みも必要です。具体的には、地域・家庭での参画への配慮、サービス残業・結婚退職・パワーハラスメント等の解消などが求められています。

具体的施策
  1. 子育て・介護を含めた、仕事と家庭の両立支援及び雇用環境の整備
  2. 働く男女の支援としてファミリーサポートセンターを設置する。
  3. 育児介護休業制度の性別にとらわれない利用の促進
  4. 女性の能力開発のための技術習得講座の実施及び再就職への支援
  5. 職場における子育て支援対策の充実
  6. 女性企業家及び企業家をめざす女性への支援
  7. 多様な生き方を可能にする就業条件の整備

目標(13)少子高齢社会における男女共同参画

少子高齢の進展や核家族世帯のさらなる増大にともない、一人暮し高齢者の増加や介護者の減少等による介護費用の増大など高齢者を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。沖縄県は世界でも有数の長寿地域として国内外を通じて注目されおり、宜野湾市においても高齢者の割合は12.2%と高い数値にあります。しかし、こうした長寿社会を支える社会システムや構成は、前述のとおり揺らぎ始めているのです。
介護の担い手については、これまで家族内での女性の役割とされてきたものが、介護保険制度が開始されたことにより、社会化されました。しかし、今なお、女性にとって大きな負担となっているのが現状です。今後は女性だけが介護負担を強いられることなく、夫婦や家族が支え合いながら要介護予防や生活支援などを促進していく必要があります。
また、介護される側の性(セックス:生物学的性)の尊重も必要です。例えば、衣服の着脱、入浴、排泄など、高齢者はとかく性別を意識されずに介護される場合が多々あります。介護される側・する側と役割で二分するだけでなくひととして尊重する姿勢が必要です。
多様な生き方と自立を社会生活の中で行う場合、制約を受けやすい高齢者やハンディを負った人たちに対して、ノーマライゼーションの概念を持ちながら、バリアフリーホスピタリティの視点で支援を図っていきます。

具体的施策
  1. 国民年金に関する広報啓発及び相談体制の整備
  2. 在宅サービスの充実と男性の介護への参加
  3. 男性の家事・育児・介護への参加の促進を図る啓発
  4. 介護される側の性の尊重
  5. 高齢者・障害者の生活及び経済的自立、社会参加の支援・基盤整備(女性が負担してきた介護・看護の問題の軽減のため)

基本方針 4.平和な社会とまちづくり

基本理念で掲げたように「男女共同参画社会」は差別や暴力のない平和で豊かな共生社会づくりを目標の一つとしています。しかし、この理念を最大限に脅かすものとして戦争、紛争、占領があります。これらは生命、財産、家族、文化を組織的に破壊する行為であり、とくに女性や子どもなどの弱者にあらゆる面で犠牲を強いる行為です。そしてこの強大な暴力行為を実行する軍事基地が、わが宜野湾市の中心に大きく横たわっています。
宜野湾市は戦争と軍事基地の脅威という歴史的経験を教訓に、他市町村、他府県、アジアをはじめとする諸外国、そして後世に向けて平和な社会のあり方を訴え続けていく責務をもっています。さらに平和な社会づくりをしっかりと訴え続けていけるように、足もとの家庭、地域、職場、学校などにおいて平和で豊かな宜野湾市を実現しなければなりません。
そこでこの計画では、平和で豊かな社会づくりの拠点として市内外、国内外の女性たちのネットワークや交流を促進し、人と人とのつながりで女性たちがエンパワーメントできる機会をさらに充実していきます。また、『人材交流育成センターめぶき』をはじめ、活動や情報交換の拠点、窓口、システムをさらに整備・充実化させ、女性たちのネットワークから生成した新たな文化、産業、運動などを積極的に支援し、宜野湾市まちづくりの中核を担えるように育てあげていきます。
それにともなって、宜野湾市内のまちづくりだけではなく、市外、県外、国外の平和で豊かな社会づくりに貢献できる女性の人材育成に積極的に取り組みます。

目標(14)米軍普天間基地の早期返還と返還跡地のまちづくり

宜野湾市は中心部に市の面積の約3分の1を占める普天間基地を抱え、市民は基地と隣り合わせの生活を送っています。そのため、日常的な爆音被害やヘリ墜落事故などの危険にさらされ、教育環境の阻害や健康被害を招き、命と財産が脅かされています。
本市では、2004(平成16)年4月に「普天間飛行場返還アクションプログラム」の行動計画に基づき普天間飛行場の早期返還と普天間飛行場周辺の航空機騒音の軽減、住宅地域上空での旋回飛行訓練を中止させるための取組みが行われています。
特に女性にとっては、基地あるがゆえにその所属する米軍人・軍属が引き起こす重大な性犯罪が後を絶たず、基地から派生する深刻な人権侵害の問題といえます。
一方では、米軍人・軍属と日本人女性との間に生まれた児童に関して文化、教育等の問題が発生し、国、県、市においてその対応が取り組まれています。
また、市の中央に位置することから、都市計画に支障をきたしてきたため、跡地利用を進める上では、健康で住みよいまちづくりにしていくことも大きな課題となっています。
基地早期返還のための取組みや跡地利用計画に女性が積極的に関われるよう計画策定委員等への女性委員の登用が求められています。また、関連した学習の機会や話し合いの場で、基地から派生する健康被害調査や意識調査などを実施し、女性や市民各層への基地被害の実態を明らかにします。
平和・自然・命を大切にし、男女共同参画の視点を取り入れたまちづくりを提案していきます。

具体的施策
  1. 母性保護の視点に立った基地から派生する健康被害調査及び意識調査の実施
  2. 男女共同参画の視点に立った、平和、基地問題、跡地利用に関する啓発事業の実施

目標(15)男女共同参画で実現できるヒト・モノ・コトづくり

宜野湾市は様々な顔をもったまちです。広大な米軍普天間基地が中心部に大きく横たわる現実、かつての基地経済から成長した旧繁華街の存在、公園やコンベンション機能などを持つ海浜地区、そして大学等の研究機関等があります。また、様々な経験、知識、技能をもった人々が集まるまちでもあります。近年、産官学、さらに市民個々のネットワークによるまちづくりが注目を集めていますが、様々な側面をもった宜野湾市はそれに相応しいまちです。
そこで、男女共同参画に関するこの計画を宜野湾市のまちづくりに十分に活用できるように、「男女共同参画で実現できるヒト・モノ・コトづくり」を積極的に実行します。

まず、ヒトづくりとはまさしくまちづくりに関わる人材育成の事業であり、男女が対等に参加しエンパワーメントすることができる講習会や学習会を実施します。これは行政で委嘱する審議会や委員会のような提言、諮問を目的としたものとは異なり、まちづくりリーダーの人材育成を目的として市民に提供する場です。そのプログラムはハード面の都市計画からソフト面の生活問題まで多面的でかつローカルなものを組んでいきますが、平和問題や環境問題などグローバルな視点を培うことができる内容にしていきます。将来的には、この講習会や学習会の参加者が行政の各種委員会で力を発揮したり、市内外のNPOやNGOのコーディネート(仲介・調整)やマネージメント(企画・運営)ができるような人材を育成していきます。とくに男女共同参画の視点からいうと、これまでまちづくりに参画することが困難であった女性、高齢者、若者、障害者等に十分配慮し、多様なライフステージやスタイルに対応した細やかな講習、学習の場を提供していきます。

次にモノづくりの視点としては、まちづくり等に関する活動拠点や情報交換拠点、ならびにその拠点間のネットワークやシステムの整備であり、まちづくりに寄与できる文化や産業の支援です。とくに男女共同参画の視点でいうと人材育成交流センター「めぶき」を中心として、市内外、国内外の女性の交流拠点をハード面、ソフト面の双方で充実化していきます。また、男女平等や共同参画の視点に配慮した文化、産業、運動を積極的に育成し、その創造や組織化に携わるNPO、サークル等の団体を支援していきます。さらに、モノづくりの側面は米軍普天間基地返還後の都市計画にも関わっており、その計画の方針決定過程及び計画の実施に充分に男女共同参画の視点をまちづくりに展開します。

最後にコトづくりとは男女共同参画の視点に立った、まちづくりに関する「事」(出来事)をつくることを言います。たとえば、女性による模擬議会や政策提言会を実施しまちづくりに反映させるイベントや、平和・男女平等・環境問題等に関するフォーラムやワークショップなど国際的な人的・知的交流を促すイベントを開催します。また、これらのイベントとは個別に女性史の調査・研究・刊行を進め、男女平等および男女共同参画の視点に立った宜野湾市の歴史を確立していきます。
以上のヒト、モノ、コトづくりを積極的に展開し、宜野湾市のまちづくり、平和で豊かな環境の実現に男女平等、男女共同参画の視点を反映し宜野湾市のまちづくりを推進していきます。

具体的施策
  1. 多様な人材のまちづくりへの参画機会の確保
  2. まちづくりの分野への 女性の登用。(審議会)
  3. まちづくりリーダーの育成
  4. まちづくりに関わる部署への女性職員の配置
  5. NPOやNGOの育成支援
  6. すべての人(女、男、高齢者、障害者、等)に使いやすい公共施設の環境整備
  7. 男女平等、共同参画の視点に配慮した文化、産業、市民活動の支援
  8. 男女共同参画の視点に立った、まちづくりに関する事業・イベントの開催
  9. 女性史の調査・研究・発刊

目標(16)男女共同参画の視点に基づく平和国際都市・宜野湾の構築

宜野湾市は大学等の研究機関があり、様々な国や地域から留学生や外国人が来住しています。また海浜地区にはコンベンション機能があり、国際的な会議やイベントを中心に人的・知的交流の場面を多く見ることができます。この計画でその地の利を生かし、男女共同参画の視点にたった国際交流と国際平和への貢献に関する事業を実施していきます。具体的には、講習会や学習会などの個々のエンパワーメントとは別の、人と人との結びつきによって実践的にグローバルな視野を体得していくエンパワーメントの場としていきます。
まず、国際的な人的・知的交流を展開していく前に、私たちの足もとである宜野湾市を男女共同参画に関するグローバルスタンダード(国際的な基準)を積極的に取り込み、市民に浸透させていきます。たとえば男女共同参画先進諸国の法・規範・基準を行政や市民で学習し、市独自で取り入れられるものを模索検討していく場をつくります。また、宜野湾市は冒頭に述べた留学生の存在をはじめ、外国人や外国籍の人などが抱える特有の問題を考えていくことが求められています。そのためにも、外国人や外国籍の人が住みよい環境を整えることを目的とした、情報提供・相談受け入れの機能を拡充していきます。
そして、実際的な国際交流の事業としては国際交流協会や各種女性団体を活用しながら、市民個々に国際交流の機会が広がるかたちで事業を展開していきます。とくに男女共同参画の視点に関しては、市内在住の外国人との情報交換、共同作業(ワークショップ)を開催し、一緒に考え相互にエンパワーメントしあえる事業を実施します。そのためにも、国際交流協会や各種女性団体など市民の中から女性の国際交流専門委員を育成し、事業の企画・運営を市民主体で行えるようにしていきます。さらに、市内での国際交流だけにとどまらず、県主催の女性のエンパワーメントに関する事業への推薦、NPOやNGOと積極的に連携していきながら、男女共同参画、平和、環境問題、人権・平等に関する相互のエンパワーメントを目的とした海外への派遣事業を推進していきます。
男女共同参画社会の構築は宜野湾市一自治体だけでは成しえません。これまでの男女共同参画の推進のためのさまざまな取り組みは、国際的な動きとともに進められてきており、今後も国際社会における課題と取り組みについての理解はますます必要になります。本市は男女共同参画の視点に基づく平和国際都市の構築を積極的に進めていくため、市内随所の改善と市外・県外・海外の人たち(とくに女性)との相互のエンパワーメントを図ります。

具体的施策
  1. 男女共同参画の視点に立った国際交流・国際平和への貢献
  2. 外国人の生活環境整備のための情報提供、相談体制の充実(特に女性であるがゆえの問題の支援)
  3. 市内在住外国人との交流やネットワークづくり

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沖縄県宜野湾市野嵩1-1-1
電話番号:098-893-4461